女性とデート中に知らない男性(旦那)がやってきた

By | September 26, 2015

『Yとのその後』

先日は、こちらの誘いをYにみごとに拒否された私だったが、あのときは彼女にも、どこか含みを残した感じがして、私は機会をみつけてもう一度、彼女を誘ってみるつもりでいた。が、このあいだのように二人が会社に遅くまで残って仕事をするようなことは、その後、なかなか訪れなかった。
気のせいか、仕事中、フロアですれちがったり、コピー機の前で一緒になったりしたときの、彼女の態度がどこか以前より親しげになっているようにおもえた。また食事いきません? と私をみつめるその目が語っているかのようだった。
それからもなんどか残業で二人が残ることはあっても、そのときはきまってほかの社員たちもいて、へたに動くとどんな噂を流されることになるかわからなかった。それで私は用心して、事務の仕事で彼女をよびつけ、『今夜、食事どう?』と書いたメモ用紙をそっと渡した。彼女はいったん自分のデスクにもどると、すぐまたもどってきて、私の机の上にやはりメモ用紙を置いていった。それには、『このあいだのレストランで7時に』と書いてあった。
会社を出、レストランに向かう車の中で私は、意気込んでいた。食事のあと、ホテルに誘う。今夜は彼女も、断らないだろうと私は確信していた。
私はレストランのガレージに車を停車すると、7時きっかりに店内に入っていった。彼女はすでに、この間二人が座ったのと同じテーブルについていて、私をみると手をふった。
「今夜も、のむかい」
と、熱燗をうまそうにのんでいたこの間の彼女を思い出して、私はいった。
「今夜はやめておきます。あとで上司にあってもらいたい者がいますので」
誰だろう。私は見当もつかなかった。それから10分ほどして、私たちが注文の料理をまっているとき、ひとりの男性がテーブルにちかづいてきた。
「紹介しますわ。私の主人です」
いそいで私は椅子からたちがり、相手にあわせて礼をした。
「いつも妻がお世話になっています」
「いえ、いえ。こちらこそ」
「主人もごいっしょさせていただいて、よろしいですか」
「もちろん」
私たち3人はそれから、和やかに食事をはじめた。

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