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『残業の二人』

仕事が残業になり、やっと終わった時はすでに十時で、社内には誰もいないと思って、照明のスィッチをきろうとしかけた時、事務のデスクにひとり、Yという彼女が座っているのが見えた。
「まだ仕事してるのかい」
「ええ、ちよっと。昼間、ほかの仕事をもってこられて………」
「それは大変だね。だけともう十時だよ」
「もう終わります」
彼女がいそいで机の上のものを片づけだすのを、私はじっと待っていた。Yはこの春入社したばかりの新人で、年は20代半ばというから、転職してきたのだろう。仕事はよくできて、だからこそ、いろんな仕事がまわってくるのにちがいない。
「すみません」
ようやく片づけおえて彼女が、コートをはおって私のところにかけよってきた。
「食事は、とったのかい」
「まだです」
「よかったら、いっしょに食べにいかないか」
Yはちらと私の顔をみやってから、バッグからスマホをとりだし、数歩離れたところから話しはじめた。
「ちょっと遅くなるから」
そんなやりとりが聞こえた。きっと親にでも連絡しているのだろう。
私はガレージから車をだすと、表でまっていた彼女を助手席にのせ、もよりのレストランに行った。
「ここは十二時までひらいているから、ゆっくりたべれるよ」
彼女と私は壁際のテーブルについて、店員がもってきたおしぼりで手をぬぐった。
「いい店。ごぞんじなのですね。よくこられるのですか」
「ああ、まあ」
この間、妻ときたばかりだった。
「のめるのなら、お酒もあるよ」
「じゃわたし、日本酒いただこうかしら」
そのそぶりから、けっこういける口のようだった。
彼女がたのんだ熱燗徳利を、私が猪口についでやった。彼女は、いかにもうまそうにその猪口をのみほした。
「好きそうだね」
「仕事で疲れたときは、お酒がいちばんですわ。いけるのですか」
「車だからね」
「もうしわけありません」
いいながらも、彼女は二杯目を空けた。
一時間後、ふたたび車に彼女をのせて走り出した私は、いい心地で座席にもたれている彼女に行った。
「このまま、二人きりですごさないか」
すると彼女は吐息をついて、
「今夜はこのまま、返してください」
「わかった」
それ以上なにも言わずに私は、彼女を自宅まで送りとどけた。